合同エージェントワークショップ&シンポジウム2010(JAWS2010), 2010(10)
岡田勇, 山本仁志
要旨:本研究では、エージェントシミュレーションを用いて条件付きリスク行動の適応過程について分析する。その結果、トーナメントゲームにおいては比較的高いリスクを取るリスク行動が生き残ることが分かった。さらに、ミュータントが常に侵入しうる環境において適応的であるのは、最高ではないが比較的リスクの程度の高い戦略である。この知見はプロスペクト理論が主張するような人間行動を支持するのみならず、それらの理論では説明できない合理的なメカニズムを提供している。本稿はまだ抽象性の極めて高いモデルの分析に過ぎないが、行動経済学をはじめ進化論、社会心理学、消費者行動理論といった多様な領域に重要な知見を提供しうるだろう。最後に、より一般的な解析のための拡張のアイディアについても提案する。
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