エージェントベースシミュレーションによる知識共有コミュニティの報酬制度設計

電子情報通信学会論文誌D, Vol.J94-D,No.6, pp.945-956,2011(6)

小川祐樹,山本仁志,岡田勇,諏訪博彦,太田敏澄


要旨:

本研究の目的は,Q&Aコミュニティにおける報酬制度としての金銭の程度の違いが,回答の数や質にもたらす影響を明らかにし,コミュニティへの効果的な報酬制度の導入方針を明らかにすることである.Q&Aコミュニティにおいて,質問者が回答のお礼として回答者に与える報酬は,回答者の回答モチベーションを高め,コミュニティの活性化を支援する制度設計の一つである.報酬制度に関し,現実のQ&Aコミュニティでは,金銭・非金銭など異なる報酬制度の導入がなされているが,これらが質問と回答にもたらす効果について客観的な知見は明らかになっていない.そこで,本研究において我々は,質問者・回答者の知識取引をエージェントベースでモデル化し,シミュレーションによって報酬制度の効果を明らかにする.更に,質問者と回答者の知識特性の類似性が異なるコミュニティ環境に対してシミュレーション分析を行うことで,コミュニティ環境ごとの効果的な報酬制度の導入方針を明らかにする.実験の結果,金銭報酬が高い制度においては回答の質は高いが回答の数は低く,逆に金銭報酬が低い制度においては回答の質は低いが回答の数は多くなることを明らかにした.


IEICE page

Preliminary draft


go Hitoshi Yamamoto Study work || go Hitoshi Yamamoto top