情報処理学会研究報告2005-IS-91,pp.9-16,2005.
山本仁志,石田和成,太田敏澄
要旨:インターネットを介したオンライン市場の発展により、従来は購買者でしかなかった一般の個人が、売り手や買い手として市場に参加することが可能となった。一方で、オンライン市場の発展は、消費者間取引におけるリスクの増大という社会的問題を引き起こしている。例えば、代金不払い、商品不渡し等の不正行為が一例である。オンライン市場では、取引参加者相互の評判情報を流通する評判管理システムを用いることで、市場参加者の協調行動を促進している。本研究の目的は、オンライン市場において売り手・買い手の取引行動や取引相手を選択する際の情報行動を分析することで、評判管理システムの有効性を検証することである。我々は、個人の利得行列が囚人のジレンマ状況である仮想的な取引市場を構築し、被験者をもちいた実験をおこなった。実験参加者の行動を分析することで、実際に個人が評判に基づいて取引相手を選択する際、評判を形成するどのような情報を参考に判断し、どの情報を重要だと考えているのかを議論する。実験の結果、評判管理システムが協調行動を促進することがわかった。また、協調的な参加者は、取引相手を選択する際、非協調行動の回数およびID継続期間を重視して選択していることがわかった。 キーワード:
評判管理システム, オンライン取引, 囚人のジレンマ
proceedings(8 pages)