消費者の情報行動調査とGini 係数による消費の集中の測定

日本オペレーションズ・リサーチ学会 2002年秋季研究発表会アブストラクト集,pp.104-105,2002.

山本仁志,岡田勇,太田敏澄


要旨:

Winner-Take-All(WTA)という現象は、今日の社会をよく言い表す言葉であるが、その全てが理解されているわけではない。我々の目的は、音楽ソフト市場において、情報チャネル効果がWTAを引き起こす要因であることを明らかにすることである。WTAとは、ある市場において消費者の選択が、特定の財に集中していく過程である。 WTAは、Frank and Cook(1999)によって概念的な説明がなされているが、具体的に測定可能な指標を用いたWTAの説明はなされていない。そこで、我々はWTAを数値的に把握するために、Gini係数を用いた測定を提案する。 従来のWTAの説明の代表的なものとしては、ネットワーク外部性や規模の経済性による価格優位などが挙げられる。ネットワーク外部性によるWTAとしては、携帯電話市場のNTT DoCoMoなどが代表的な事例である。規模の経済性をもとにした価格優位によるWTAとしては、ファーストフード市場におけるマクドナルドが代表的な事例と考えられる。これらの事例から、ネットワーク外部性と規模の経済性は、WTAを説明する代表的な理論と考えられる。 一方で近年、音楽ソフトや映画ソフトにおいて、WTAが加速している。しかし、これらの説明理論では、音楽ソフトのWTAを説明することはできない。そこで我々は、新しい説明理論として、情報チャネル効果を提案する。情報チャネル効果とは、情報ネットワークの発展による双方向コミュニケーションチャネルの増加がWTAを加速する効果である。


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