主体間相互作用を考慮した社会的ジレンマ問題の研究

第三回 社会情報システム学 シンポジウム 講演論文集

山本 仁志,太田敏澄


要旨:

Hardinは人口問題には、技術革新による解決手法は存在せず、社会の道徳性の延長が必要であると述べている。(G,Hradin(1968))これは、社会問題において、個人-個人、個人-社会、間の相互作用による、個人の意思決定が、いかに重要であるかを示していると言える。本研究では、環境問題における社会的ジレンマ問題を、主体間相互作用を考慮したモデルとして構築し、より緻密な社会的ジレンマモデルの記述と、社会的ジレンマ状況を解消の可能性を示す。そこで、個人の意思決定基準の差が社会全体のアウトプットに対して、非常に大きな意味を持つことを示す。次に、近年出現した、新たな社会と言える、仮想的な情報空間社会における社会的ジレンマ問題に取り組む。ここでは、情報空間社会における社会的ジレンマ状況をモデル化し、シミュレーションを行うことで、その構造の解明と解決手法について、社会の規模と複雑性の観点からの提案を行う。これは、情報空間の特徴として、環境操作が可能であると言うことが挙げあられるため、個人の意思決定基準を追求するより容易に、環境操作によって、社会的ジレンマが解消可能であることを、示すことができると考えられるからである。また、エージェント-環境(集団)、の相互作用が強いため、環境操作により、個人-環境の自己生成的相互作用が、観察できると考えられる。この研究は社会情報システム学(太田他(1996))の一領域である「社会システム論」の基礎的な研究である。


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