日本ソフトウェア科学会 ネットワークが創発する知能研究会 第一回ワークショップ 講演論文集,pp.120-127,2005.
石田芳文,山本仁志,岡田勇,太田敏澄
要旨:本論文の目的は、繰り返しのジレンマ(Iterated Prisoner’s Dilemma: IPD)ゲームの対戦相手の構造にスケールフリーネットワークを用い、協調関係のメカニズムについて論じることである。IPDにおいて、協調関係が成り立つことはいくつかの先行研究によって論じられているが、現実社会における取引やコミュニケーションの関係を表現できていない。そこで我々は、スケールフリーネットワークを用いたエージェントベースド・アプローチを採用し、エージェントの戦略の振舞いを議論する。その結果、スケールフリーネットワークにおける協調の崩壊は、シミュレーションの結果により、IPDを用いたネットワークの中心となる寛容なエージェントが搾取されることで生じるという観察結果を得ている。これは、現実社会における中心人物が、厳格である必要があることを示唆する。
Keywords:
スケールフリーネットワーク, 囚人のジレンマ, 協調の進化
proceedings(Preliminary draft)