災害時における地域SNSの活用:コミュニティの時系列推移に基づく分析

日本社会情報学会誌, Vol.23,No.1,pp.45-56, 2011(9)

小川祐樹, 山本仁志, 和崎宏, 後藤真太郎


要旨:

地域SNSは,地域コミュニティの活性化のための新たなサービスとして期待が集まっているが,災害時などの緊急事態に対応するためのネットワーク基盤としても重要な役割を果たす。近年,SNSのネットワーク構造やコミュニケーション構造の特徴分析は多くの研究でなされているが,災害時の情報共有や復興支援にSNSのどのようなコミュニケーションがなされ,活用されたのかの分析はなされていない。本研究では,佐用町(兵庫県)で発生した大規模水害において,地域SNSがどのような使われ方をしたのかをSNS上のネットワーク分析をおこなうことで明らかにする。具体的には,災害発生以前のコミュニケーション構造と災害発生時のコミュニケーション構造の変化に着目し,日常のどのようなコミュニティが災害時の中心的なコミュニティであったのかを明らかにする。分析の結果,災害直後において災害支援を志向するコミュニティが現れること,また,地域への関心が初期から高いコミュニティは将来への災害対策を志向したコミュニティへと推移すること,さらに,災害発生後に行政への意見を志向するコミュニティが現れることが分かった。

キーワード : 地域SNS,災害,コミュニケーション,ネットワーク,コミュニティ

Preliminary draft


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