2003年 経営情報学会 春季全国研究発表大会 予稿集,2003.
山本仁志,石田和成,太田敏澄
要旨:インターネットの発展は、従来は市場化可能な規模に達しなかった情報や消費者ニーズも、市場による取引が可能になり、多様な財、情報が選択可能にした。小規模消費者ニーズの市場化の事例では、Amazon1におけるユーズドストアやeBay2などの消費者間オークションといった消費者間取引が挙げられる。しかし、インターネットを介した取引の発展は、一方で消費者間取引におけるリスクの増大という社会的問題を引き起こしている。例えば、代金不払い、商品不渡し等の不正行為が一例である。これは、オンライン取引が、匿名性や、参加・離脱が容易であるといった特徴を持つため、売り手・買い手の双方に、貢献することなく、サービスや財を受け取りたいという、非協調行動への誘引が働くからである。このような環境下で、市場参加者の協調行動を促進する制度や仕組みはどのように構築可能であろうか。本研究では、個人を基盤とした情報流通による、消費者相互の評判情報の流通が、市場参加者の協調行動の発現に有効であることを論じる。本研究は、市場の環境条件や参加者の特性などによって、どのような評判情報の流通が協調行動の促進に有効に機能するのかを理解するためのモデルを提供できる。このモデルは今後、社会においてオンライン市場が発展するために、信頼できるオンライン市場を構築する上で、重要な役割を果たすと考えられる。
Keywords:
評判管理システム、繰返し囚人のジレンマ、電子商取引、オンライン市場、エージェントベースド・アプローチ
proceedings(4 pages)